スミスの蔵書目録の中には、『国富論』のタイトルが、英語版のほかフランス語訳やドイツ語訳も含めて複数確認でき、スミスが自身の著作を書棚に納めていたことがうかがえます。
アダム・スミス『国富論』(ロンドン、1776年)
An inquiry into the nature and causes of the wealth of nations
『国富論』の初版本。総革装・綴付け製本。初版は四つ折版2巻本(セットで1ポンド16シリング)で、当時としては決して廉価ではありませんでしたが、半年で売れたとされています。
『アダム・スミス蔵書目録1781年』では、『国富論』のタイトルが複数確認でき(英語版2点、ドイツ語版2点、フランス語版1点)、スミスが自身の著作も書棚に収めていたことがうかがえます。東京大学経済学図書館にも『国富論』初版が所蔵されていますが、スミスの蔵書票は貼られていません。当該資料には”Sir Alexander Ramsay of Balmain
Bart.”の名前と称号の記された蔵書票が貼られており、標題紙に残るスタンプと図書館の記録から、新渡戸稲造によるスミス旧蔵書寄贈以前の1910年に、田尻稲次郎からの寄附金で購入したものであることがわかっています。
第1巻
表見返し
第1巻
タイトルページ
第1巻
本文冒頭
(p.5)
第2巻
ハーフタイトル
「見えざる手」(invisible hand)
の言及部分
(p.35)